創業から37年目の今、
新たな挑戦は医療分野
「ソフケン」という社名の由来は、なんでしょうか?
「ソフト技研(技術研究所)」の略称です。知的財産特許などを拠り所としたものづくりです。
なるほど!<ソフ>ト技<ケン>ですね! 2020年で、創業37周年を迎えたとのことですが。創業当初は、どんなスタートだったんですか?
創業は、昭和58年(1983年)1月です。私がそれまで勤めていた大手電気メーカー、次いで医療・衛生用品メーカーで企画商品開発と、約18年のサラリーマンから一念発起で起業。最初は紙と鉛筆だけ、兄の知人に誘われて工場の一角に製図版を置いてのスタートでした。
最初は紙と鉛筆だけ、工場の一角に製図版を置いてのスタートでした。
固定費をかけずにスタート、地に足がついていますね!
いえいえ、何もないゼロからのスタートで。ご縁に従って、流されながら本当にありがたいスタートでした。
最初から「ものづくり」されていたんでしょうか?
最初は、特許事務所に持ち込まれるアイデアを具現化する、そんな仕事から始めていました。また、大手の無線会社の研究所長とのご縁で、マイクロ波機器のデザインをしたり、理化学機器などのデザインをしていましたね。
仕事は順風だったんでしょうか……?
いやいや、こちらはひとり。それに対して、大手の会社は、購買、品質管理、品質保証など、管理体制がしっかりしています。大いなる違いに戸惑いを感じていました。
ただ、研究所という特殊部門とのお付き合いだったので、例外にしてくださったのではないかと。わたしは研究者の理論を、具体化する作業をお手伝いするという立場ですね。
お一人で頑張ってきた時期があるのですね。当時の心もちといえば?
面白かったけれど、理解するのが大変でした。「流れの科学」など、異分野の勉強もさせていただきました。研究所長より直接、開発に関するご指導をいただく機会もあって、楽しくも緊張の連続でした。「感性を磨きなさい」と、自然を感じる感覚について話してくださいました。
「感性を磨きなさい」と、自然を感じる感覚について話してくださいました。
会社としてブレイクするきっかけになった商品は?
「ユビラーク」という指圧用のグッズです。小さな資本で作れるアイデアグッズを商品化して、自社開発商品として世に出したんです。ローテク、ローリスク、特許ベースのものづくりのはじまりでした。
「ユビラーク」が、ローテク、ローリスク、特許ベースのものづくりのはじまりでした。
小さな資本で大きな売り上げ。アイデアあってのブレイクですね。どのぐらいのヒットになったのですか?
ユビラークの販売で得た資金を元手にして、次の商品開発につなぐことができました。それほどの大ヒットだったんです。現在の主力商品である前開きフレーム、「ラクパネ」を製作、販売がスタートできたんです。 最初は「クリックフレーム」という商品名でした。
前から開くポスターフレーム「ラクパネ」。ソフケンフレームシリーズの第1号にしてロングセラーの製品です。
ラクパネの開発については、また別のコラムで詳しくお聞きしたいと思います。
この前開き構造で世界12か国で特許を取得して現在に至っています。
世界12か国で特許を取得して現在に至っています。
国際特許を取ったフレームが、現在の主力製品ソフケンフレームなんですね!
新製品は売れることがわかると、すぐに真似されてしまいます。ユビラークも、そっくり商品を出されていたり、私の知らないところで、大量に販売されたりしてしまいました。創業間もない小さな会社でしたから、同じ製品を作られたら販売力のある企業にあっというまに負けてしまいます。
だからこその特許取得なんです。以来、特許技術を製品づくりに生かしつつ、ソフケンを発展させてきたつもりです。
37年間事業を継続できているって、本当にすばらしいことだと思います!
他にも数多くの特許を取得しているわけですね。
いま、メイン商品はソフケンフレームですが、徐々に育っているのがグリップフレーム。グリッパーという特許技術を活かした自由なモノづくりのフレームです。
グリッパーという特許技術を活かした自由なモノづくりのフレームです。
今後の特許につながる開発も、お話いただけませんか?
今は、国立がんセンターと共同開発している機器があります。まだ具体的にはちょっと……。
国立がんセンター! 私の父がお世話になったところです。どんな流れで、医療現場での開発、となったんですか?
千葉県中小企業産業推進政策、の一環で「医療連携」という取り組みがあって。これに参加して、二つの案件を共同開発することになったんです。
医療現場で役立つ特許。社会に役立つモノづくりをしたい、という社長の強い思いを感じます。たくさんの医療従事者、患者さんの助けになる機器が生まれることを、楽しみにしています。ありがとうございました。
※ ユビラークやグリップフレームも、別コラムで取材予定です。
引き続き「1-3 ソフケンのはじまり」をご覧ください。